裏漉しのやり方は、食材をやわらかくしてから網に少量ずつのせ、へらで押し通すのが基本です。力任せに押すより、食材の温度や水分、網目の細かさをそろえるほうが、なめらかな仕上がりへ近づきます。
裏漉しは、さつまいもやかぼちゃ、栗、豆腐などの繊維や小さな塊を取り除き、口当たりを整える調理法です。栗きんとんや白和え、すり流しなど、和食でも食感をきれいに仕上げたい場面で役立ちます。
初めて行う方は、専用の裏ごし器がなくても、丈夫なざるやこし器で試せます。まずは食材を十分にやわらかくし、網へ一度に載せすぎず、へらを寝かせて一定方向へ動かすところから始めてみてください。
裏漉しのやり方は道具の置き方と押し方が基本
まずは基本動作です。裏漉しは、食材を網へ押し付けるだけに見えますが、食材のやわらかさ、器具の安定、へらの角度で作業のしやすさが変わります。力より順番を整えることから始めます。
食材は先に十分やわらかくしてから裏漉しする
裏漉しは、硬い食材を網の力で無理に砕く作業ではありません。さつまいも、じゃがいも、かぼちゃ、栗などは、ゆでる・蒸すなどして中までやわらかくしてから行います。全農の料理基本でも、でんぷん質のさつまいもは熱いうちに裏ごしする手順が示されています。冷めると粘りが出て押し通しにくくなるため、加熱後の状態が作業性を左右します。
豆腐のように水分が多い食材は、料理に合った水切りを先に行ってください。例えば白和えなら、水分が多すぎるまま裏漉しすると衣がゆるくなります。食材ごとに「やわらかくする」と「余分な水分を整える」を済ませてから網へ移すと、力を入れすぎずに進められます。
裏ごし器は安定する器の上へ置く
裏ごし器は、受け皿やボウルの上でぐらつかないように置きます。作業中に器が動くと、へらへ余計な力が入り、食材が飛び散ったり網を傷めたりしやすくなります。専用器具を使う場合は、枠が受け皿へ安定して掛かる大きさか確かめてください。
ざるで代用するときも、持ち手を片手で強く押さえ続けるより、ボウルの縁に安定して載る組み合わせが扱いやすいです。濡れ布巾を下へ敷いて滑りにくくする方法もあります。作業前に「網の下へ食材が落ちる空間があるか」「へらを動かしても器がずれないか」を確かめると、途中で持ち替える回数を減らせます。
木べらを寝かせて少量ずつ一定方向へ押す
食材は網の全面へ広げず、奥側など一部へ少量ずつ置きます。木べらや丈夫なゴムべらを寝かせ、網へ押し付けながら手前へ引くように動かすと、食材を少しずつ網目へ通せます。全農の手順でも、木べらを寝かせて手前へ引く方法が紹介されています。
へらを立てて一点へ強く押すと、網への負担が大きくなり、作業も疲れやすくなります。一度で全部を通そうとせず、薄く広げて何度か繰り返してください。網の上に繊維や皮が残ってきたら、それらを食材へ混ぜ戻さず、必要に応じて取り除くと、仕上がりのなめらかさを保ちやすくなります。
網の裏側を使う向きも器具の説明に合わせる
裏ごし器には、網の張り方や枠の形によって食材を載せる面が分かりやすいものがあります。一般には広く安定した面を使い、受け皿へ食材が落ちるように置きますが、器具ごとの構造が違うため、購入時の説明があれば従ってください。特に毛を使った伝統的な裏ごし器や細かな網は、金属製のざると同じ感覚で強くこすると傷みやすい場合があります。家庭では、最初に少量を通して網のたわみ方を確かめ、異常に大きく沈むなら力を弱めます。
食材を載せる面、へらの材質、洗い方まで器具に合わせると、道具を傷めず長く使いやすくなります。また、網へ押し付けた食材を何度も往復させるより、同じ方向へ送るほうが、残った繊維と通ったペーストを分けやすくなります。途中でへらに付いた食材は清潔な別のへらなどで落とし、手で直接触れる回数を減らすと作業も整います。
| 準備 | 見るポイント |
|---|---|
| 食材 | 中までやわらかいか |
| 器具 | ボウルの上で安定するか |
| へら | 寝かせて動かせるか |
- 食材は先に十分やわらかくします。
- 裏ごし器は安定するボウルや皿の上へ置きます。
- 食材を一度に載せすぎず少量ずつ通します。
- へらは寝かせて一定方向へ動かします。
食材によって裏漉しのタイミングと水分を変える
基本が分かったところで、次は食材ごとの違いです。いも、かぼちゃ、栗、豆腐では、裏漉しへ入る前の温度や水分が異なります。同じ力加減で処理せず、素材に合わせて準備を変えましょう。
さつまいもやじゃがいもは温かいうちに手早く通す
いも類は、やわらかく加熱した直後のほうが裏漉ししやすい食材です。全農は、でんぷん質のさつまいもやじゃがいもは冷めると粘りが出てつぶしにくくなるため、熱いうちに裏ごしするよう案内しています。栗きんとんやいもを使った和菓子では、このタイミングが口当たりへつながります。
やけどを避けながら皮を除き、扱える温度のうちに少量ずつ進めてください。冷めて硬くなったものを強い力で押すより、温かい状態を保って作業するほうが網を傷めにくくなります。裏漉し後に砂糖やだしなどを合わせる場合は、先に素材だけをなめらかにしておくと、調味料が均一になじみやすくなります。
かぼちゃや栗は皮や繊維を先に除くと仕上がりが整う
かぼちゃは皮や種、わたを除いてやわらかく加熱し、栗は鬼皮や渋皮、硬い部分を取り除いてから裏漉しへ進みます。網は異物を取り除く助けになりますが、大きな皮や硬い筋まで一緒に押し付けると作業効率が落ちます。農林水産省の栗きんとん資料でも、加熱した栗から変色部分などを丁寧に除く工程が示されています。
家庭では、裏漉し器に載せる前の段階で食べたくない部分を目で確認して除くことが大切です。例えば栗きんとんなら、栗やさつまいもの色をきれいに見せたい場合ほど、焦げや硬い皮片を混ぜないようにすると仕上がりが安定します。

豆腐は水切りしてから裏漉しすると白和えがまとまりやすい
豆腐を白和えやがんもどきに使う場合は、料理に合った水切りをしてから裏漉しします。白ごはん.comでも、豆腐の水切りと裏ごしを分けて説明しており、裏ごしは白和えなどの工程として使われています。豆腐は芋類と違って熱いうちに押す必要はありませんが、水分が多すぎると網を通った後の生地がゆるくなります。
反対に水切りしすぎると硬くなり、へらで押しにくくなることがあります。白和えなら、裏漉しした豆腐へ味噌やごま、調味料を混ぜる前に、まず口当たりと水分を確かめてください。料理ごとに必要な硬さを見ながら水切りを調整するとよいでしょう。
裏漉し後に加える液体は少しずつ混ぜる
裏漉しを終えたペーストへ、だし、牛乳、調味液などを加える料理では、一度に多くの液体を入れないほうが濃度を調整しやすくなります。裏漉し前の食材に水分を増やしすぎると網を通しやすくなる一方、完成した料理がゆるくなり、元へ戻しにくくなります。例えばすり流しなら、まず素材をなめらかにしてからだしで少しずつのばし、白和えなら裏漉しした豆腐へ調味料を順に合わせます。栗きんとんでも、裏漉しした素材の状態を見てから甘みやシロップを加えると、料理ごとの硬さへ近づけやすくなります。
なめらかさと水っぽさは別なので、液体は最後に調整する意識が便利です。液体を加える前に、裏漉しした素材を少量だけスプーンですくい、粒や繊維が残っていないか確かめると便利です。必要ならその部分だけもう一度こし、十分になめらかなら次の調味へ進みます。全量を何度も裏漉しし直す必要はありません。
かぼちゃや栗は皮や硬い部分を先に除きます。
豆腐は料理に合う水切りをしてから裏漉しします。
- いも類は冷めきる前に裏漉しします。
- かぼちゃや栗は硬い皮や筋を先に除きます。
- 豆腐は料理に必要な水分量へ整えてから通します。
- 調味料は裏漉し後に合わせると均一に混ざりやすくなります。
裏ごし器がないときはざるでも代用できる
食材の扱いを押さえたら、道具の選び方を見ます。専用の裏ごし器は便利ですが、少量なら手持ちのざるでも試せます。仕上げたい細かさと器具の強度を見ながら無理のない方法を選びます。
丈夫なざるは家庭で試しやすい代用品
専用の裏ごし器がなくても、目が細かく丈夫なざるや万能こし器で代用できます。macaroniでも、ざるを使った裏ごし方法が紹介されています。代用品を選ぶときは、網が弱く大きくたわむものや、へらを押し付ける用途を想定していない器具は避けてください。
底が丸いざるでは食材が中央へ集まりやすいため、少量ずつ動かすと作業しやすくなります。専用器は平らな網面が広く、一定方向にへらを動かしやすいのが利点です。頻繁に栗きんとんや裏ごし野菜を作るなら専用器具、たまに少量だけなら手持ちの丈夫なざる、と使い分けると無駄がありません。
網目が細かいほど必ずよいとは限らない
網目が細かい器具ほど、通った食材はきめ細かくなりますが、その分だけ押し通す力と時間が必要になります。長谷工の調理解説でも、裏ごしによって繊維や小さな塊を除いて口当たりを整える考え方が示されています。例えば、なめらかな栗きんとんや白和え衣では細かめの網が向きますが、家庭のポテト料理で少し食感を残したいなら、必要以上に細かな網へこだわる必要はありません。
料理の目的に合わせて「完全になめらかにしたいか」「粗さを少し残したいか」を先に決めてください。細かな網で硬い食材を無理に押し込むより、加熱を十分にしてから適した網を選ぶほうが失敗を減らせます。
フードプロセッサーとは仕上がりと向く食材が違う
裏漉し器とフードプロセッサーは、どちらも食材を細かくできますが、働き方は同じではありません。裏漉しは網を通らない繊維や皮を残しながら、通る部分だけを細かくそろえる方法です。フードプロセッサーは刃で全体を刻むため、繊維そのものも細かく混ざりやすくなります。
料理によっては機械のほうが短時間で済みますが、いも類は強く攪拌すると粘りが出て食感が変わることがあります。栗きんとんや白和えなど、口当たりを整えつつ不要な繊維を分けたい料理では裏漉しの利点があります。道具の新しさではなく、作りたい食感から選んでください。
粉ふるい兼用の器具は用途を分けて清潔に使う
裏ごし器には粉ふるいと兼用できる製品もあります。貝印の公式商品にも、いもやかぼちゃの裏ごしと粉ふるいの両方に使えるステンレス製の器具があります。同じ器具を複数用途で使う場合は、前の食材が網目に残っていないか確認し、十分に洗浄して乾かしてから次へ使ってください。湿った網で小麦粉などをふるうと詰まりやすく、逆に粉が残ったまま水分の多い食材を裏漉しすると仕上がりへ混ざります。収納前には網の変形やほつれも見ておくと安心です。
兼用できることは便利ですが、用途を替えるたびに清潔な状態へ戻すことが、家庭で長く使うコツになります。洗浄では、網目に食材が乾いて固まる前に水で流すと落としやすくなります。たわしや鋭い金属で強くこすると網を変形させる場合があるため、製品の手入れ方法に従ってください。使用後の乾燥までを一連の工程にすると、次回すぐに使えます。
| 道具 | 向く使い方 | 注意点 |
|---|---|---|
| 専用の裏ごし器 | 広い面で均一に仕上げたい | 網を傷めない力で使う |
| 丈夫なざる | 少量を手軽に試したい | 強度と安定性を確認する |
| 万能こし器 | 少量のペーストや汁をこしたい | 深さに合わせて少量ずつ使う |
- 専用器がなくても丈夫なざるで代用できます。
- 細かな網ほど作業負担も増えるため目的に合わせます。
- フードプロセッサーは裏漉しとは仕上がりが異なります。
- 頻度と作る量に合わせて道具を選びます。
裏漉しがうまくいかない原因を順番に直す
道具まで決まったら、最後は失敗の直し方です。通らない、べたつく、量が減るといった困りごとは、力を増やすより原因を切り分けると改善しやすくなります。作業を止めて食材と器具の状態を見直します。
押しても通らないときは食材の硬さを見直す
へらで押しても食材がほとんど通らないときは、力を強くする前に、食材が十分にやわらかいか確かめてください。いもやかぼちゃなら、中心まで火が通っていない可能性があります。大きな塊のままより、適度に分けて再加熱し、フォークで軽く崩せる程度になってから戻すと進めやすくなります。
冷めて粘りが出たいも類なら、料理の工程に支障がない範囲で温かいうちに作業できるよう、加熱と裏漉しの間を空けすぎないことも大切です。硬い食材を無理に押し続けると網やへらを傷めることがあるため、「道具の力」より「食材の状態」を先に直すとよいでしょう。
べたつくときは水分や練りすぎを確認する
裏漉し後の食材がべたべたして重く感じる場合は、水分量だけでなく、作業中に練りすぎていないかも確認します。特にじゃがいもなどのでんぷん質の食材は、強く練ったり機械で攪拌しすぎたりすると粘りが出やすくなります。裏漉しはへらで何度もこねるのではなく、網を通すために必要な回数だけ動かすのが基本です。
豆腐の場合は反対に、水切り不足でゆるくなることがあります。同じ「なめらかにならない」でも原因が違うため、芋類なら練りすぎと温度、豆腐なら水切り、かぼちゃなら加熱後の水分をそれぞれ見ます。調味料を加える前に素材の状態を確認すると修正しやすくなります。
網の裏に付いた食材を回収すると歩留まりがよくなる
裏漉しを進めると、網の裏側に細かなペーストがまとまって付きます。これをそのままにすると、せっかく通った食材が器へ落ちず、量が少なく見えることがあります。作業の途中や最後に、清潔なへらで網の裏側をそっとこそげ取り、受け皿へ落としてください。
網の表側に残る繊維や皮と、裏側に通ったペーストを混同しないことがポイントです。ここは初めてだと見落としやすい部分ですが、回収すると仕上がり量が増えるだけでなく、裏漉し器の洗浄も楽になります。作業後は食材が乾いて固まる前に器具を洗い、網目に残った食材を無理に鋭い道具で突かないようにしてください。
一度に大量に作るより数回に分けると手が疲れにくい
裏漉しは単純な動作の繰り返しなので、量が多いと手や腕へ負担がかかります。大量の栗きんとんやいも料理を作るときほど、網いっぱいに食材を載せるのではなく、数回に分けて処理してください。一回ごとに網の上へ残った繊維を除き、裏側のペーストを回収すると、次の食材も通しやすくなります。へらを強く握り続けるより、器具を安定させて体重を少し使うように押すと作業を続けやすくなりますが、網へ無理な力は掛けません。
途中で食材が冷めて作業しにくくなる場合は、全部を一度に加熱せず、料理の工程に合わせて複数回に分ける方法もあります。食材を分けて処理すると、途中で味や色の違いも確認できます。例えばさつまいもなら、繊維の多い部分だけ網上に残ることがあり、どの程度こせば十分かを見ながら止められます。全部を押し切ることより、不要な部分を残すことも裏漉しの役割です。
べたつくときは練りすぎや水分を確認します。
最後に網の裏側のペーストも回収します。
- 通らないときは食材の加熱不足を先に疑います。
- 芋類は練りすぎると粘りが出やすくなります。
- 網の裏側に付いたペーストを最後に回収します。
- 使用後は食材が乾く前に器具を洗います。
まとめ
裏漉しのやり方は、食材を十分にやわらかくし、少量ずつ網へ載せ、へらを寝かせて押し通すのが基本です。食材の温度と水分を整えると、強い力に頼らなくてもなめらかな仕上がりへ近づきます。
最初に試すなら、やわらかく加熱したさつまいもやかぼちゃを少量用意し、安定させたざるや裏ごし器へ載せて、木べらを一定方向へ動かしてみてください。
栗きんとんや白和えなど、和食では裏漉しによる口当たりの違いを感じられる料理が多くあります。専用器具の有無より、食材の状態と押し方をそろえることを意識して、無理のない量から取り入れてみてください。 仕上がりを比べると、裏漉しの効果もつかみやすくなります。 少し粗さを残した仕上がりとも食べ比べてみると違いが分かりやすくなります。
本記事は一般的な情報提供を目的としており、効果や安全性を保証するものではありません。食材の状態や体質、保存環境、地域や家庭によって結果が異なる場合があります。食品の下処理・保存・アレルギーなど健康に関わる内容は、農林水産省や厚生労働省など公的機関の公式情報もあわせてご確認ください。


